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2010 年度 実績報告書

真菌の分泌物質を大気中で検出するための可搬型イオンモビリティー分析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21500988
研究機関奈良女子大学

研究代表者

竹内 孝江  奈良女子大学, 理学部, 准教授 (80201606)

キーワードイオンモビリティー / IMS / 微生物 / MVOC / 文化財保全 / モニタリング / GC/MS / SPME
研究概要

文化財保存においてカビ(真菌類)による損傷が問題となっており、カビの発生を早期に検出できるシステムの開発が求められている。カビが目視できる段階では、10万~100個の胞子が生成しており、カビの制御は困難である。カビは光や風のない古墳の中でも成長・活動し、カビ特有のカビ臭、すなわち微生物由来揮発性有機化合物(MVOC)を生成する。MVOCは揮発性であるため、MVOCを検出することは遠隔操作でカビの成長を確認するのに適している。本研究の目的は、イオンモビリティースペクトロメトリー(IMS)を利用して、ポータブルで簡易なカビ臭検出システムを開発するための基礎技術を確立することである。
カビ生育初期段階においてはカビ臭濃度がppt~ppbレベルの低濃度であるため、平成22年度においては、固相マイクロ抽出(SPME)法を利用したカビ臭濃縮装置を制作した。渦巻き状のタングステンフィラメントにポリジメチルシロキサン(PDMS)を塗布して試料ガス抽出部を作成した。消費電力は100℃にしたとき0.17Wで乾電池での使用が可能であることがわかった。さらに市販のSPMEファイバーDVB/CAR/PDMS(50/30μm、1cm)(SPELCO社製)を用いて、その加熱脱着部を作成し、その抽出・脱着の性能が十分であることを確認した。
IMS装置は、元々テロ対策として開発され、常温常圧下で利用出来るガス分析装置であるため小型化でき、またガスの検出感度が高い特徴を持っているが、分解能の低さや温度湿度によるドリフト時間の変位などが現状では問題である。テロなどの目的で利用される場合はサンプル中に含まれる成分の数は一つであることが多く、事実、製品では、得られた単一ピークの成分の可能性を示すソフトウェアが付属されている程度である。本研究のカビのMVOCでは、多成分のガスを検出、同定することが必要である。平成22年度においては市販のIMS-MINI(ドイツIUT社製)を用いて4種のカビから放出されるMVOCのIMSスペクトルを測定し、ドリフトグラムの波形を解析し、波形分離に適当な関数を見出した。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Effects of the silicon core structures on the hole mobility of star-shaped oligothiophenes2010

    • 著者名/発表者名
      J.Ohshita, Y.Hatanaka, S.Matsui, T.Mizumo, Y.Kunugi, Y.Honsho, A.Saeki, S.Seki, J.Tibbelin, H.Ottosson, Takae Takeuchi
    • 雑誌名

      J.Chem.Soc., Dalton Transactions

      巻: 2010 ページ: 9314-9320

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characterization of Fungi Using SPME-GC/MS of MVOCs Emitted from Aspergillus fumigatus, Aspergillus nidulans, Fusarium solani and Penicillium paneum2010

    • 著者名/発表者名
      T.Takeuchi, T.Kimura, H.Tanaka, M.Kiuchi, S.Kaneko, S.Iwaguchi, T.Suzuki
    • 雑誌名

      Proceedings of the 58th ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics

      巻: 58 ページ: MP11-MP11

  • [学会発表] 微生物由来揮発性有機化合物の固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフィー質量分析による真菌類のキャラクタリゼーション2011

    • 著者名/発表者名
      田中春菜, 木村知子, 金子幸代, 鈴木孝仁, 竹内孝江
    • 学会等名
      日本化学会第91春季年会
    • 年月日
      20110300
  • [学会発表] カビの他感作用物質としての2-Pentadecanone2010

    • 著者名/発表者名
      金子幸代, 田中春菜, 竹内孝江, 木内正人, 岩口伸一, 鈴木孝仁
    • 学会等名
      日本植物学会第74回大会
    • 発表場所
      愛知県春日井市
    • 年月日
      2010-09-09
  • [学会発表] マススペクトロメトリーにおける気相イオン化学と反応ダイナミックス2010

    • 著者名/発表者名
      竹内孝江
    • 学会等名
      原子衝突研究協会第35回年会
    • 発表場所
      奈良(特別講演)
    • 年月日
      2010-08-09
  • [学会発表] 中赤外レーザーを用いる脱離イオン化の特性と酸性糖質およびSニトロソ化合物への応用2010

    • 著者名/発表者名
      田尻道子, 和田芳直, 竹内孝江
    • 学会等名
      第58回質量分析総合討論会(2010)
    • 発表場所
      つくば
    • 年月日
      2010-06-18
  • [学会発表] 土壌カビ由来の揮発性有機化合物の固相マイクロ抽出-ガスクロマトグラフィー質量分析によるカビの識別-Aspergillus sp.,Fusarium sp.,Penicillium sp.2010

    • 著者名/発表者名
      田中春菜, 木村知子, 長谷川美穂, 金子幸代, 鈴木孝仁, 岩口伸一, 岩松雅子, 竹内孝江
    • 学会等名
      第58回質量分析総合討論会(2010)
    • 発表場所
      つくば
    • 年月日
      2010-06-17
  • [学会発表] Characterization of Fungi Using SPME-GC/MS of MVOCs Emitted from Aspergillus fumigatus, Aspergillus nidulans, Fusarium solani and Penicillium paneum2010

    • 著者名/発表者名
      T.Takeuchi, T.Kimura, H.Tanaka, M.Kiuchi, S.Kaneko, S.Iwaguchi, T.Suzuki
    • 学会等名
      58th ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics
    • 発表場所
      Salt Lake City, USA
    • 年月日
      2010-05-24
  • [図書] 「文化財保全技術」に関する先導的研究開発委員会活動終了報告書2010

    • 著者名/発表者名
      志水隆一
    • 総ページ数
      81
    • 出版者
      独立行政法人 日本学術振興会

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公開日: 2012-07-19  

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