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2011 年度 実績報告書

文化財の被災履歴データベースによる脆弱性評価と保存計画策定への活用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21500992
研究機関独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所

研究代表者

二神 葉子  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 企画情報部, 情報システム研究室長 (10321556)

キーワード文化財・文化遺産 / 防災 / GIS / データベース / 保存計画
研究概要

(1)現地調査(イタリア)
2011年11月にラクイラでの調査を実施した。ラクイラでは2009年4月に発生した地震により建造物に大きな被害が生じたが、旧市街地ではほとんど復興が進んでいなかった。建造物の修理は、周囲や内部に足場を組んだり、亀裂の入った柱に応急的にベルト状の補強を巻きつけたりする程度で、復興計画が決まっていないため本格的な修理に取り掛かれない状態であった。現地の専門家の話では、計画が策定され復興に至るには20年程度はかかるのではないか、とのことである。また、日本の技術協力で免震装置の設置予定との情報があった建造物も、技術に対する理解が得られず、装置の設置は見送られたことがわかった。現実の地震対策および復興計画の策定には長期間を要し、具体的な進展状況は今のところ明らかではない。
(2)地震対策と地震危険度評価の認知度についてのアンケート調査
国の地震危険度評価を実際の文化財保護への活用の可能性を検討するため、地震対策に関するアンケート調査を国宝文化財建造物所有者および管理責任者に対して実施した。その結果、地震対策は15%の国宝文化財建造物でしか行われておらず、実施を妨げる最大の要因は経済的要因であった。情報不足も費用に次ぐ主要な原因である。その価値を保ち地震対策を講じる必要のある文化財建造物の特殊性から、個々の文化財に応じた地震対策が必要なためと考えられる。所有する文化財建造物のある場所で想定される揺れについての知識の有無は、地震対策を施している所有者では「ある」と答えた割合が高く、行っていない所有者では低かった。一方、確率論的地震動予測地図の存在は全体に認知度が低かった。確率での表現はわかりづらいとする回答が多いものの、地震と地震動に関する情報の地震防災に対する有効性ほ肯定的にとらえる回答者が多く、確率論的地震動予測地図に対する期待があることが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 国宝文化財建造物の地震対策の現状と課題-地震動予測地図との連携の可能性-2011

    • 著者名/発表者名
      二神葉子、隈元崇
    • 雑誌名

      地震ジャーナル

      巻: 52 ページ: 42-56

  • [学会発表] イタリアにおける文化財危険地図の活用-地域での防災への応用を中心に2011

    • 著者名/発表者名
      二神葉子
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第33回大会
    • 発表場所
      奈良県新公会堂
    • 年月日
      2011-06-05

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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