1 現地調査によるパルサの現状の把握 GPS測量機器を用いてパルサの測量を行なった。これによりパルサの分布の現状を地理座標上に位置付けることができた。また気象環境を把握するために、気象観測装置(気温、湿度、風向風速、気圧、雨量)を設置した。また積雪状態を知るためにインターバルカメラの設置を行なった。さらに地表付近の地温を観測する装置を設置し、パルサとパルサ以外の地表面温度の違いを把握した。 パルサ内部の永久凍土核の拡がりを推定するため、電気探査を行なった。測線の近くの地表付近に池などの水体がある場合には、電気比抵抗値が低くでてしまい、的確に永久凍土核が推定できないことがあった。しかしパルサの周辺に大きな水体がない場合には、永久凍土核の拡がりを推定できることが判った。したがって電気探査とボーリングとを組み合わせることによって、効率良くパルサの内部の状態を推定できることが判明した。またこれまで本湿原での永久凍土の発達深度を5m程度と考えてきたが、電気探査からより深い可能性があるパルサが存在することも判った。 あるパルサ(パルサB)のボーリングの結果、ここでの永久凍土の深さは約5mで約25年前の状態と変化が無いことも明らかになった。このボーリング孔を利用して地温観測を開始した。 2 空中写真判読による分布面積変化 1955年から2007年までの異なる撮影年度(10期)の空中写真を用いて、パルサの変化を調べた。1955年から2007年にかけて継続的にパルサの面積は減少傾向にあることが判明した。しかし正確な面積の比較を行なうために、現在、空中写真を正射画像化している。
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