研究概要 |
全国データによる高齢者の年齢階級別,月別死亡率は,いずれも冬季に高く夏季に低い傾向があり,2001~2010年の10年間の月別死亡率年次推移は,65~74歳,75~84歳では,いずれの月の死亡率も,次第に低下する傾向が見られる。85歳以上の死亡率は,年による変動が大きい。65歳以上の4大死因別死亡率は,悪性新生物には季節変化が見られないが,心疾患,脳血管疾患,肺炎の死亡率は,いずれも冬季に高く夏季に低い傾向がある。 2010年都道府県別65歳以上死亡率は,人口が多い都道府県(東京都,神奈川県,大阪府,愛知県,埼玉県,千葉県)で全国値よりも低い。これらに次ぐ人口規模の北海道,兵庫県の65歳以上死亡率も全国値よりやや低い。他に65歳以上死亡率が全国値以下となる県は,沖縄県と,奈良県,京都府,滋賀県であり,全国値並みの県は静岡県,岐阜県,広島県,福岡県である。沖縄県以外は大都市周辺の府県である。人口が多い都道府県では,65歳以上人口に対する前期高齢者の比率が高いため,65歳以上死亡率も低下すると考えられる。 2010年都道府県別65歳以上死亡率(全死因)は,いずれの都道府県においても冬季に高く夏季に低い傾向が確認された。各都道府県の2010年死亡率の高低に応じて,月別死亡率の季節推移も月別全国値を中心に,その上下で推移する。 4大死因別死亡率のなかで,悪性新生物の死亡率は,ほとんどの都道府県で明瞭な季節変化がみられない。心疾患の死亡率は,多くの都道府県で冬季に高く夏季に低い傾向がある。脳血管疾患死亡率も冬と夏の死亡率にやや同様な傾向がみられる。肺炎死亡率の季節変化は,明瞭ではない県が多い。
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