研究概要 |
本研究はさまざまな時代に形成された石灰岩が分布する亜熱帯琉球列島の沖縄島、宮古島、石垣島において、円錐カルストの地形測量と構成物質の定量的な把握を行うことによって、円錐カルストの地形特性・微地形特性と構成物質との対応関係を明らかにし、対応関係をもたらした地形プロセスを溶食のみならず石灰岩の物理的風化、物理的地形プロセスを加味して解明しようというのが目的である。 本年度の研究では、中生代の石灰岩が分布する沖縄島本部半島の本部富士、ギマムイ、ユネー森の円錐カルストにおいて、頂部に形成されているピナクルの形態を観察し、ピナクルと円錐カルストとの地形の階層性を議論した。また、ピナクルの形態の違いを見いだし、その差異をもたらした原因をジョイントの走向、傾斜、密度で議論した。円錐カルストの形態をリニアメントの走向、傾斜を計測し、形態を生みだす原因を議論した。また,円錐カルスト斜面上の堆積物(土壌,礫)の厚さを計測することを試みた.円錐カルスト頂部での石灰岩の物理的風化・崩落の可能性を探るために、ピナクル表面温度の測定を行った。表面温度は最高温度55℃を示し、日較差は最大30℃を示した。また、降雨よる急激な温度下降が観測された。 第三紀の石灰岩に円錐カルストが形成されている石垣島東部において、代表的な円錐カルストを選定し、レーザー距離計を用いて円錐カルストの地形測量を行い、詳細な地形断面図を作成し、円錐カルストの斜面勾配を明らかにした。円錐カルスト斜面上の岩屑の構成岩石、径および形状を測定し、斜面構成物質を明らかにした。
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