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2011 年度 実績報告書

『名所図会』を用いた京都盆地における水環境の復元

研究課題

研究課題/領域番号 21501008
研究機関立正大学

研究代表者

河野 忠  立正大学, 地球環境科学部, 教授 (50215191)

研究分担者 原 美登里  立正大学, 地球環境科学部, 准教授 (00386517)
薮崎 志穂  立正大学, 地球環境科学部, 助教 (60447232)
キーワード名所図会 / 古水文環境 / 水質 / 名水 / 江戸時代
研究概要

平成23年度は,京都盆地における名水の把握と水質調査,土地利用図の補足調査,および報告書作成に向けた集成作業を主に実施した。また,平成21年度に見出した「都名水見競相撲」(1802)資料から,作成した名水分布図をもとに解析した結果を発表した。
江戸時代の水環境を復元した結果,現在の御所付近から当時の京都市街地で西端にあたる二条城,南限に当たる京都駅付近まで,多数の井戸や湧水が存在していたことが明らかとなった。当時の井戸掘り技術は京都盆地が砂礫で形成されていることを考慮すると,せいぜい5-10m程度であったことと,市街地の南西にも湧水が存在していた(佐女牛井など)ことから,地形の変動を無視しても,地表面下1-5m付近に地下水面が存在していたことが判明した。
現存する湧水,井戸の水質分析結果から,涵養域の推定を行うための方法の一つとして,降水の酸素・水素安定同位体比を測定し,盆地内の地下水の同位体比と比較する方法が有効的であり,その詳細な調査を実施した。2009年9月~201O年8月までの1年間,京都盆地から北部山地(貴船地域)の3地点に降水採取装置を設置して,2ヶ月毎に降水を採取し,その同位体比を測定した。降水の同位体比の結果から,本研究地域の降水の同位体高度効果は,δ180で-0.17%・/100m(r2=0.981),δDで-0.7愉/100m(r2=0.819)であった。シリカの分析結果から総合的に考えると,京都盆地の鴨川由来と考えられる地下水は存在する深度(5-100m)に関係なく,ほぼ水質が一定であり,ほぼザルのような状態であることが確認された。未だに市街地で良質な地下水を利用した酒造や豆腐,湯葉などが製造できるのは,このような地下水の特徴によるものであることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 京都盆地で採取した標高別降水の安定同位体比特性2012

    • 著者名/発表者名
      藪崎志穂・河野忠
    • 雑誌名

      地球環境研究

      巻: 14 ページ: 23-30

  • [学会発表] 『名所図会』と『名水見競相撲』を用いた古水文環境の復元2011

    • 著者名/発表者名
      河野忠・藪崎志穂・鈴木康久
    • 学会等名
      京都カッパ研究会・京水の宴
    • 発表場所
      京町家さいりん館
    • 年月日
      2011-11-12
  • [学会発表] 『都名水視競相撲』(1802)にみる京都の名水と『洛中洛外図屏風』との関係2011

    • 著者名/発表者名
      河野忠・西野可奈子・鈴木康久
    • 学会等名
      立正地理学会
    • 発表場所
      立正大学
    • 年月日
      2011-06-04
  • [学会発表] 京都盆地の地下水,湧水および降水の安定同位体分布特性2011

    • 著者名/発表者名
      長崎志穂・河野忠・原美登里・鈴木康
    • 学会等名
      地球惑星科学連合2011年合同大会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      2011-05-25
  • [学会発表] 都市および山地部における硝酸態窒素濃度-京都盆地,筑波山を例にして2011

    • 著者名/発表者名
      藪崎志穂
    • 学会等名
      地球惑星科学連合2011年合同大会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      2011-05-25

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公開日: 2013-06-26  

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