研究概要 |
樹木誘電率の日変化に伴う電波後方散乱の変化を捉えるために、PALSAR観測と,同期した地上設置型散乱計の長期間計測を仙台市宮城野区荒浜で2010年9月29日から24時間行った。しかし地上設置型散乱計のデータは数dBのランダムな揺らぎを示した。原因を調べた結果、以下であることが分かった。 1.樹木からの反射強度が弱く、十分なSNが得られていなかった。 2.レーダ送受信装置で、1つのポートを使ってレーダ送受信を行うと、絶対値の計測精度が悪くなった。 1については測定回数を10回から1000回に挙げることで、2については2つのポートを使い2つのアンテナで計測を行う事で対応をした。その結果、一週間計測を続けても計測精度が0.2~0.3dB以内に収まることが確認できた。 この装置を電波暗室に持ち込み、観葉植物を用いて7日間の測定を行った。電波の波長は0.5-6GHzで、アンテナは樹木の幹から1mの距離に置いた。また、装置の安定性を確認するためにコーナー反射鏡を観葉植物の後ろに置いた。得られたデータを解析した結果、コーナ反射鏡からの電波反射強度は0.2~0.3dBであったのに対し、樹木幹からの電波反射強度は数dBから5dB程度の変化を示した。これより、本実験装置によって有意な樹木からの電波反射の変化が検出された。ただ、その変化の周期は一日より長くなっていた。これについては、室内に普段置かれている観葉植物特有の性質であることなどが考えられるが、今後外で普通に生えている樹木を測定して結果の評価を行う。
|