1.目的:リモートセンシングによる熱赤外画像や受動型マイクロ波画像の空間分解能の向上のためにサブピクセルシフト多重観測画像を取得し、これに超解像再構成手法を適用する。サブピクセルシフト多重観測画像の取得中は対象の状態が不変である事が必要で、そのためにはリモートセンシング・センサシステムでの多重観測化が必要である。本研究では、このためのセンサシステムの研究と効果的な超解像再構成法について研究している。 2.本年度の成果:(1)これまで開発した超解像再構成法の実証実験として、熱電形熱画像センサ(チノー製TP-L0225EN)で得られる熱赤外画像の超解像化を試みた。この種の熱画像センサは低コストで、設備の温度異常の監視等に多数が利用されるようになっているが、画素数はまだ少ない。今回用いたセンサは47×48画素ぞある。本手法で超解像化ができれば、熱画像センサの応用範囲の拡大という意義もある。 点光源を計測対象とし、X軸方向に直動ステージで1/10画素単位でシフトさせながら撮像した画像列から超解像再構成を行い、元の画像に比べて点光源のピークが鋭くなり、解像度が向上した結果を得た。また、XY軸方向ヘシフトした画像列からの超解像も行い、さらに良好な結果を得た。熱画像には多くの雑音が含まれ、超解像化の際に影響を与えるため、雑音の低減が今後の課題である。 (2)もう一つの実証実験として、マイクロホンの指向特性の超解像化に着手した。Xバンドのマイクロ波と可聴域の音波の波長はほぼ同じで、マイクロ波画像の超解像化に関する知見が得られると考えている。予め計測したマイクの角度-感度特性を利用して、超解像再構成を行う。これまでに、マイクの角度-感度特性を計測するシステムを構築した。今後、超解像再構成の実験を行う。
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