研究概要 |
【調査結果とデータ解析】 昨年度に引き続き,国内(北海道から九州まで12地点)における雨水のホルムアルデヒドによる汚染実態調査を平成22年4月~平成23年3月に渡って実施した。これまでの2年間分のデータをまとめ,考察した。その結果,(1)1降雨ごとにボトルに採取した試料について,場所や季節による汚染レベルの明瞭な傾向は見出せなかった。しかし,各降雨イベント時の降雨量に対して汚染レベルをプロットすると,ほぼ一本の曲線に収束することを見出した。降雨量が汚染レベルの測定値を大きさを決める最も大きな因子であることがわかった。降雨量を考慮して,汚染レベルの変動モデルを作成し,地点や季節による汚染レベルの違いを評価したところ,データのばらつきの範囲でほとんど差がないことがわかった。(2)1降雨イベント間に,1mmずつ降雨を採取し,より詳細に汚染レベルの変化を追跡した。その結果,3mm以下の初期降雨において汚染物質(ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド)のほとんどが降下し,それ以降は,汚染レベルの低い降雨であることがわかり,先の汚染の変動モデルが正しいことが確認された。また,降雨の中断後に降り始めた雨には再び高い濃度のホルムアルデヒドが含まれることがわかり,降雨の様子によって汚染レベルが変動することも確かめた。 【研究成果の公表と評価】 分析化学討論会において依頼講演,また,日本化学会の中部地域の学会に招待講演の講師としてこれらの成果を発表した。また,日本分析化学会の年会において"展望とトッピクス"講演に選ばれ,さらに,その内容は新聞の全国誌(毎日9/17,朝日9/15)に報道され,インターネット(Yahoo!)のトップページ(9/17)にも掲載された。広域の環境汚染問題として社会の関心を集めている。
|