研究課題/領域番号 |
21510011
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
井上 睦夫 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (60283090)
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研究分担者 |
山本 政儀 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (10121295)
濱島 靖典 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (60172970)
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キーワード | 海洋化学 / 放射性核 / ガンマ線計測 / 東シナ海 / 日本海 / 物質循環 |
研究概要 |
平成22年7-8月の蒼鷹丸調査航海において、東シナ海東部・日本海西部(対馬海盆およびその周辺)の海水試料20-60Lを鉛直および水平方向に採取した。さらに西海区水産研究所の協力により、2月、3月、4月、5月および7月の6回にわたり、東シナ海東部の7地点において表層海水20Lを採取した。 簡便な共沈法を施した海水試料に低バックグラウンドガンマ線測定法を適用することにより、^<226>Ra、^<228>Raおよび^<228>Th濃度(^<228>Ra/^<226>Ra比、^<228>Th/^<226>Ra比)の測定をおこなった。 これら結果より、東シナ海東部・日本海西部における水塊および粒子の物質循環に関し、以下の知見が得られた。 1) 東シナ海表層海水の^<228>Ra/^<226>Ra比の水平および季節変動を見出し、各地点、各季節の表層海水における大陸棚表層水、黒潮海水および長江河川水の混合比を見積もった。 2) 東シナ海表層海水の^<228>Th/^<226>Ra比の水平および季節変動を見出し、本海域表層におけるトリウム同位体(粒子吸着元素)の除去メカニズムを議論した。 3) 東シナ海における^<228>Ra/^<226>Ra比および^<228>Th/^<226>Ra比の鉛直分布より、夏季の成層期には、各水深(各層)ごとに、異なる水塊、粒子など物質循環が起きていることを明らかにした。 4) 対馬海峡を取り巻く東シナ海北東部と対馬海盆近辺における測定核種の鉛直分布(0-200m)に明らかな共通性がみられるなど、日本海、東シナ海に直接的な関係が示された。 今後、以上の結果を総括的に議論し、これら海域の三次元的物質循環モデルを構築する予定である。
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