本研究では、沈水植物(ホザキノフサモ)がアオコの原因となる藍藻類の増殖抑制物質(アレロパシー物質)を放出する現象(アレロパシー)を植生帯創出に活用するため、藍藻類が優占しないように藻類の種構成を変遷させるホザキノフサモのアレロパシー効果の化学生態学的特性を明らかにすることを目的とした。今年度は、把握された放出挙動に基づいてアレロパシー物質を藍藻類、池沼に一般的な他の藻類、混合培養したこれらの藻類に作用させ、アレロパシー効果の種特異性とアレロパシーによる藻類の種構成の変遷を確認することとした。 Gorham5倍希釈、25倍希釈の2種類の培地にて藍藻類(Microcystis aeruginosa)、緑藻(Seenedesmus obliquus)各々、あるいはそれらを混合したものを植種し、温度を30℃、25℃にて培養した。培養期間中、水深0.5~1mにて植生密度0~2kg・wet/m2(0~4kg/m^3)のホザキノフサモが放出する量のアレロケミカルを毎日した。ホザキノフサモのアレロケミカルの増殖抑制効果はM.aeruginosaに対してのみ現れた。明らかに藍藻類M.aeruginosaの増殖が勝る条件であっても、4kg・wet/m^3相当のアレロケミカルが作用すると、同藍藻類の比増殖速度は緑藻類S.obliquus以下となった。さらに、これらの藻類の混合培養系においてアレロケミカルを作用させると、緑藻を優占させられることを確認できた。
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