研究概要 |
1.生物試料の分析-共生渇虫藻及び石灰化部の分析 シャコガイの外套膜から共生褐虫藻の単離を、ポッター型ホモジナイザーと遠心分離機、メッシュろ過を組み合わせることにより成功した。生物顕微鏡で観察したところ、直径10μm程度の褐色藻が他の成分とおおよそ分離できていることが確認された。Milli-Q水で数回洗浄した後、乾燥させ、乾重量で5mgずつをマイクロ波加熱酸分解法で溶液化し、誘導結合プラズマ質量分析法で分析した。その結果、V,Mn,Co,Ni,Cu,Znなど12元素(生体必須元素9元素含む)が定量可能であった。 石灰化部の分析は、サンゴ骨格について行った。キレート固相抽出法を併用したICP-MSまたはICP-AES測定により、サンゴ骨格標準物質(JCp-1)の37元素の分析が可能になった。 2.海水試料の分析 (1)リン化合物の化学形態別分析 イオン対形成メンブランフィルター捕集濃縮法を併用したモリブデンプルー法により、「溶存態リン」、「酸難溶粒子態リン」、「全リン」の分析を行った。サンゴ礁生物試料の採水場所であり瀬底島の海水について昨年度から2ヶ月ごとに1年間測定した結果、全リンは平均14.0mg/L、そのうち溶存態リンは平均16%、酸難溶粒子態リンは平均64%であった。 (2)陽イオン性微量元素の高倍率濃縮と簡易化学形態別分析 瀬底島海水中の水和金属イオンを採水現場でキレート固相抽出カラムに濃縮する方法を確立すると共に、2010年9月より月に一度の採水を行い、サンゴ礁海域の微量元素濃度変化の特徴を探るためのモニタリングを開始した。また、ICP-MS測定では各種化学形態別に捕集したカラムから直接溶出測定できるようにオンライン溶出測定法について検討した。
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