本研究では、まず石炭燃焼由来微量元素の簡便なトレーサーとして、ホウ素同位体比(δ^<11> B)の有効性を明らかにした。次に、2004年4月から2006年3月に日本海側地点で採取された大気エアロゾルの微量元素(14元素)濃度とδ^<11> Bを測定した結果、As、B、Cd、Hg、Pb、Sb、Zn濃度はいずれも夏季に低下し、冬季に上昇する季節変化を示した。また、冬季のδ^<11> Bは、中国大陸の北緯30度以北の石炭に特有な大きな負の値であった。したがって、それらの微量元素は、冬季に中国北部での石炭燃焼に起因する越境汚染の影響を強く受けた結果、大気中濃度が増大したと判断される。
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