本研究の最重要課題であるSiハニカム膜フィルタの開発は、前年度に孔径1μmパターンのハニカム膜フィルタの試作に成功したものの良品歩留まりが6%(48個中3個)と低いことが課題であった。本年度は製造条件の見直しを行って、孔径1μmパターンフィルタの歩留まり向上を試みた。結果、35%(48個中17個)の良品歩留まりを得て量産の目処を得ることができた。今回試作したSiハニカム膜フィルタを用いて、クリーンルーム工場での微粒子サンプリングのフィールド試験を実施した。サンプリングした微粒子はフィルタ全面に均等に分布し、光学顕微鏡の広視野観察では全域でピントを合わせることが可能で大量の微粒子の計測や分析が容易であった。SEM解析でも蒸着処理なしで個々の微粒子を迅速に分析できることが確認できた。Siハニカム膜フィルタの製造条件の最適化と産業における有用性を確認できる成果を本年度得たことより、特許出願を行った。 ハニカム膜フィルタ捕捉微粒子に適した分析手法の開発では、可搬性および将来の組込み性を考慮し、走査型レーザー変位計を応用して微粒子の3次元形状測定を試みた。青色レーザーを用いてx-y方向0.5μmピッチで高さ計測を行った。計測データに画像処理を施すことで3次元形状像の取得には成功したものの、大きさが数ミクロン粒子の全体形状が判別できる程度であった。解像度向上が今後の課題である。 センシング情報のワイヤレス通信方法の検討評価では、アクティブ型長無線通信規格Zigbeeの適用性評価を行った。センサを複数個、配してセンサの位置情報と計測情報をリレーできるセンサネットワークが簡単に構築できることを確認した。
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