研究概要 |
本研究からの知見は,平成22年度までに4編の学術論文として公刊されている.平成23年度は,それらの論文で呈示した知見を更に精緻化すると共に,今後の研究の方向性を追求すべく,「越境環境影響評価」に関わる国際機関および援助機関に関する文献調査と,これらの機関に於けるヒアリングを継続的に実施した.また,本研究の実施への協力を得ている国内外の研究者との協議と,国際流域管理を専門とする研究者からのヒアリングも継続的に実施した.流域国間での情報の透明性欠如が,流域国の猜疑心を生み,係争に発展するという,本研究から得られた知見より,情報の透明性を確保するために流域国間が合意すべき「制度的枠組」が含むべき要素を事例研究より特定すること,および,そのような「制度的枠組」が有為に機能することを補助する為の「仕組み」を提案することが重要との認識に至ったことから,そのような枠組での研究を実施することにより,本研究の課題を更に深化することを志している.有効に機能する「仕組み」を構築する為の試みとして,本研究より,流域の水資源利用を最適化するための「意思決定支援システム」が備えるべき要件を,流域国からの専門家の参加を得て特定することが必要と考えるに至った.本研究からの知見をウェブサイトで開示すると共に,平成22年度に日本(東京)で開催した「越境環境影響評価」の枠組み策定に関与してきた研究者と実務者による国際シンポジウムでの発表と討議の内容を基軸とした,国際的な学術誌の特別号を公刊する準備を進めた..
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