研究概要 |
1.再生肥料中に残留する医薬品の調査 全国で市販されている下水汚泥またはし尿汚泥を主原料とする再生肥料を収集し、使用量に関する情報と環境中からの検出報告例を基に15種類の対象医薬品を選定し、分析を行った。その結果、μg/kgの幅広いレベルで残留する医薬品が検出された。特に、鎮痒剤として幅広く使用されているCrotamitonは分析を行った全ての再生肥料から検出された。対象医薬品の再生肥料からの検出率と物性との関連性を検討した。その結果、化学物質の疎水性の指標であるlog Kowと検出率との間には正の相関があり(r=0.63,p=0.012)、疎水性の高い医薬品ほど再生肥料中からの検出率が高い傾向にあることが明らかになった。 2.植物を用いた医薬品の移行試験 エンドウ(Pisum sativum)を供試植物として水耕栽培条件下における医薬品の移行試験を行った。その結果、エンドウ地上部から医薬品が検出され、植物体への移行が確認されたげまた、植物への移行速度は医薬品の種類によって大きく異なっており、特にTrimetpprim、Sulfamonomethoxine、Sulfamethoxazole、SulfadimethomineおよびCarbamazepineは植物への高い移行速度を示した。 3.発酵試験による医薬品の分解実験 家畜へ投与されており、畜ふん中からの検出報告例がある6種の医薬品を牛ふん堆肥に添加し、30日間の発酵試験を行った。その結果、これら6種の医薬品は20日間好気的条件を維持することで約90%が分解することが明らかになった。さらに、LC/MS/MSを用いた解析により2種の医薬品(Sulfametkoxazole,trimethoprim)の中間生成物と考えられる物質を検出した。
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