本研究課題では、ヒトなど哺乳動物に対する化学物質の安全性を組織特異的に行えると共に、分析の自動化が可能な形質転換マウスを用いた新たな変異原試験法を開発することにしている。平成21年度においては、紫外線影響、塩基置換及びフレームシフトなどのDNA変異を検出するための変異原検出用塩基配列の構築を行い、また、フレームシフトが引き起こされてもストップコドンが生じない蛍光タンパク質遺伝子(GFP及びDsRed monomer)遺伝子の構築を行うことにした。まず、変異原検出用塩基配列については、紫外線影響を調べる塩基配列、すなわちピリミジンに富む塩基で構成した塩基配列を設計した。また、塩基置換を検出するための配列として、3塩基で構成されるトリプレットコドンのうち、一塩基が置換されるとストップコドンとなる塩基配列を設計した。更にフレームシフトが生じた場合にストップコドンとなる塩基配列も設計した。また、今回の一連のコンストラクトでは、3種類の蛍光タンパク質、即ち、GFP、DsRed monomer及びYFPの遺伝子を連結し、この上流に存在する変異原検出用塩基配列にフレームシフトが起こると発現する蛍光タンパク質が異なるよう計画しているが、これらの遺伝子にはフレームシフトをするとその遺伝子内にストップコドンが生じるため、その下流の蛍光タンパク質遺伝子にフレームが合ったとしてもその蛍光タンパク質が翻訳されないことになる。そこで、この様な個所の塩基を他の塩基に置換することを行ったが、設計の元となるGFP遺伝子の塩基配列が、現在市販されているGFP遺伝子と異なっていたことから、平成22年度に改めてこのフレームシフトが生じてもストップコドンが生じないGFP遺伝子を構築し直すことにした。
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