昨年度まで、紫外線影響、塩基置換及びフレームシフトなどのDNA変異を検出するための変異原検出用塩基配列を緑色蛍光タンパク質(GFP)の5'上流に挿入して変異原検出用遺伝子の構築を行った。この遺伝子は、哺乳動物で翻訳されるようCMVプロモータで制御されるようプラスミド(pMC-TBG)に導入してある。このコンストラクトは、変異が起こらなければGFP蛍光が得られ、変異が起こった場合は、このGFP蛍光が消失するようにしてある。今回の課題で最終的に作成するコンストラクトは、紫外線影響及び塩基置換が起こった場合にはGFP蛍光が消失し、フレームシフトが起こった場合には他の蛍光タンパク質(DsRed又はYPF)が発現するようなプラスミドの構築にあるが、様々な実験でGFPが使用されていることを考慮すると、GFPの蛍光フィルターが装着されている蛍光顕微鏡を保有している研究機関が多いと予想されることから、まず、GFP蛍光のみで変異原試験を行うことができるpMC-TBGを用いて形質転換マウスの作成を試みることにした。まず、pMC-TBGを制限酵素にて直鎖状にしたのち、マウスにマイクロインジェクション法を用いてマウスに導入した。その結果、産仔78個体が得られ、サザンプロット解析を行ったところ、形質転換体は1個体のみしか得ることができなかった。従って、現在、マイクロインジェクションを行い、形質転換体の作出を試みているところである。
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