重金属無毒化機能に関わるメタロームの研究に取り組むにあたり、1.新規マイクロカートリッジ型重金属分析システムによる土壌および植物中重金属の微量分析2.重金属集積植物による環境修復システム・重金属輸送および無毒化機能の解明の研究を進めている。 1.バングラデシュのヒ素汚染土壌の用い、新規マイクロカートリッジ型重金属分析システムによる測定法を検討した。その結果、ヒ素測定においても鉛、カドミウムと同様に原子吸光測定装置との良好な相関を示した。 2.重金属が地上部へ集積する経路は、植物体の地下部(根)で吸収され導管・篩管を通り地上部へ運搬されると考えられている。超集積植物が重金属を地上部に高濃度に集積する機構は未だ解明されていないが、細胞内に重金属が入ると、根圏において有機酸などを滲出し金属キレート化することにより重金属を可溶化させ地上部へ輸送する経路や、地上部で重金属の無毒化・不動化させる機構があると考えられている。これらの機構にはグルタチオンやファイトケラチンといったペプチドやタンパク質が関与している。還元型グルタチオン(GSH)は重金属を捕捉・無毒化するファイトケラチンの前駆体である。また、生体内での活性酸素の消去等、環境ストレスからの防御機能に関与していると考えられている。このため、植物のGSH含有量は光、酸素濃度、公害ガス、重金属等、環境要因に機敏に反応して増減することが知られている。今回は、導管液、篩管液が大量に採取できるウリ科植物に注目し、カボチャのPb暴露時のグルタチオン量の挙動を調査した。その結果、鉛暴露による無機元素の変化およびGSH、GSSGの変化が測定された。Mnの有無がGSH/GSSG比に影響を与えることが示唆された。
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