重金属無毒化機能に関わるメタロームの研究に取り組むにあたり、1.新規マイクロカートリッジ型重金属分析システムによる土壌および植物中重金属の微量分析 2.重金属集積植物による環境修復システム・重金属輸送および無毒化機能の解明の研究を進めている。 1.今回は、コメ・水稲および土壌のCd測定におけるICP-MS・AASと新規マイクロカートリッジ型重金属分析システムによる測定法(MC測定法)との比較評価を行った。 (1)精米および玄米中のCdの測定 精米および玄米中のCd測定をICP-MS、AASおよび、MC測定法を行いて比較した。MC測定法はAASと比較した数値とも相関が良好であった。また、環塊標準試料NIES CRM No.10玄米粉末(low・mid・high)をMC測定法およびICP-MSにより測定した結果、保証値(含有値)と同じ値が得られた。ICP-MSと同様の非常に精度の高い値が得られたことから、この実験方法を用いて玄米試料を比較評価することができる。従来装置と比べてオンサイトとして利用でき、さらにスペースを必要としないことから、地方の農業施設等でも玄米のCdのリスク管理が可能になると考えられる。 (2)Cd吸収水稲を用いた測定 Cd吸収水稲におけるAASとMC測定法との相関は、y=1.1351x-0.1215とほぼ1:1であり、寄与率も0.92であることから良好な結果が得られた。 2.昨年はヨウシュヤマゴボウから毛状根を誘導し、その毛状根を用いた環境浄化法の検討を行った。今回はカドミウムの集積植物であることが知られているオクラに注目し、重金属集積機構解明の足がかりとして、オクラ毛状根の作出を行った。その結果、作出条件を見出し、オクラ毛状根を作出することに成功した。
|