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2009 年度 実績報告書

水俣病事件の教訓と環境法政策の基本原理

研究課題

研究課題/領域番号 21510040
研究機関東北大学

研究代表者

樺島 博志  東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00329905)

キーワード環境理念 / 環境法 / 水俣病 / 環境倫理 / 公害
研究概要

本年度における研究成果として,まず,台湾大学で開催された国際シンポジウム「正義理論とその実践」おける招待講演「京都学派と第2次世界大戦」を挙げることができる。本報告では,今般,環境倫理の基礎理論としても着目されている京都学派の哲学につき,倫理学の政治・社会的役割に関する問題意識の脆弱性という難点を指摘した。この基本考察により,環境倫理の基礎を解明するという思想的営みは,同時に政治・社会文脈をも考慮すべきであり,抽象理論を提唱するだけでは不完全である,という知見が得られた。つぎに,北京で開催された国際法哲学会第24回世界大会において,口頭発表「法の失敗に対する方策に関する考察-日本の公共訴訟における水俣病事件の研究」を行った。本報告の内容は,水俣病事件の法的・司法的解決の経緯のなかで,効率的紛争解決,司法審査・統制機能,損害費用の公正な配分という点で司法権の機能不全が認められ,アメリカの公共訴訟の諸制度を参考に解決すべき問題が少なくない,というものである。この口頭発表の基礎となった論文は,共著『各国憲法の統合と差異』(印刷中)に発表する論文「現代型訴訟としての水俣病事件」である。本稿では,日本の現代型訴訟とアメリカの公共訴訟の比較という観点から水俣病事件を分析し,そこで対応を迫られている問題系として,配分的正義と矯正的正義にかかわる法の根本問題を摘出した。さらに,裁判手続によっては現代型訴訟のような限界事例を必然的に適切に解決し得ないという問題につき,要件事実論を含めた裁判手続論・法的思考理論の限界がかかわる,という問題系を発展させた。これにかかる成果が,口頭発表「要件事実論と審査・起案技術」および,学術創成研究での招待講演「現代型訴訟の特質と限界-水俣病事件をてがかりに」である。両者の成果は,次年度に論文の形で発表する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 現代型訴訟の特質と限界-水俣病事件をてがかりに2010

    • 著者名/発表者名
      樺島博志
    • 学会等名
      学術創成研究「ポスト構造改革における市場と社会の新たな秩序形成」平成21年度第8回エンフォースメント部会研究会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2010-02-27
  • [学会発表] 趣旨説明:要件事実論と審査・起案技術-法理学からの検討2009

    • 著者名/発表者名
      樺島博志
    • 学会等名
      2009年度日本法哲学会学術大会BワークショップB-2
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2009-11-14
  • [学会発表] Thinking about Provisions against the Faiure of Law-A Study on Minamata Cases in Public Law Litigation in Japan2009

    • 著者名/発表者名
      樺島博志
    • 学会等名
      IVR 24th World Congress(Beijing), Working Group 9 "Constitution and Rule of Law
    • 発表場所
      中国,北京,友誼賓館
    • 年月日
      2009-09-19
  • [学会発表] Kyoto School and the World War II2009

    • 著者名/発表者名
      樺島博志
    • 学会等名
      Justice-Theory and Practice(正義理論及其実践)
    • 発表場所
      台湾,台北,国立台湾大学法律学院
    • 年月日
      2009-05-26
  • [図書] 『各国憲法の統合と差異』初宿正典先生還暦記念論文集樺島博志「現代型訴訟としての水俣病事件」2010

    • 著者名/発表者名
      大石眞, 土井真一, 毛利透, 服部高宏(編著)
    • 出版者
      成文堂(印刷中)

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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