本研究は、(1)基礎自治体(市区町村)ごとに、自然エネルギー供給(太陽光発電、風力発電、地熱発電、小水力発電、バイオマス発電(以上電力)、太陽熱利用、地熱直接利用、温泉熱利用、バイオマス熱利用(以上熱))の状況を実績ベースで把握すること、(2)基礎自治体ごとに自然エネルギーの供給ポテンシャルを把握すること、(3)これらの経年変化を比較することによって、化石燃料基盤の集中型エネルギー供給構造から、更新性資源基盤の分散型エネルギー供給構造への移行に関する地域政策指標を提示するものである。22年度は、2009年3月末における日本の全市区町村の自然エネルギー供給量を実績ベースで把握し、それを当該市区町村の民生用+農水用エネルギー需要と比較する研究を行い、『永続地帯報告書2010』として12月に公表した。この結果、2008年3月に比較して、民生用+農水用エネルギー需要を域内の再生可能エネルギーで100%賄える市町村は5カ所増加し、57自治体となったことなどが判明した。『永続地帯報告書2010』は、秋田魁新報・琉球新報・北日本新聞・紀伊民報・西日本新聞・日本経済新聞をはじめとして各種メディアにおいて紹介された。さらに、永続地帯研究において自給率が高い自治体として、岩手県葛巻町、福島県天栄村、福島県柳津町における現地ヒアリングを実施した。『永続地帯報告書2010』は、web上でも公開されており、地方自治体における自然エネルギー導入にあたって参照される文献として、定着しつつある。
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