過去、2006年3月時点(電力のみ)、2007年3月、2008年3月、2009年3月、2010年3月時点(以上、電力と熱)の5回にわたって市区町村ごとの再生可能エネルギー供給量の試算を積み重ねてきており、関連する資料とノウハウが蓄積されている。2011年12月には、「永続地帯報告書2011」を公表し、最新版では、バイオマス熱利用と林業部門のエネルギー需要を集計対象に加え、主要な再生可能エネルギー供給をすべてカバーすることができた。その結果、域内の民生・農林水産用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市区町村(「100%エネルギー永続地帯」)は、2010年3月段階で52市町村あることがわかった。また、2009年11月に太陽光発電にかかる余剰電力の固定価格買取制度を導入したことにより、2009年度に太陽光発電が36%増加した一方、再生可能エネルギー供給量全体(バイオマス熱利用除く)の増加率は4.2%にとどまっていることがわかった。さらに、増加傾向にない再生可能エネルギー種(小水力、地熱、太陽熱)が、日本の再生可能エネルギー供給の63%を占めることがわかった。この報告書は、環境省記者クラブ(一般紙、専門紙)などを通じて記者に提供するとともに、「永続地帯ホームページ」http://sustainable-zone.org上に掲載して広く一般に公開している。 この研究においては、小水力、地熱、太陽熱の重要性を指摘してきたが、太陽光と風力に偏りがちだった再生可能エネルギー政策が、地熱、小水力なども視野をおいたバランスのとれたものに修正されてきている。さらに、地方公共団体からの問い合わせも多く、地域における政策目標として認識が広がってきているところである。
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