研究概要 |
第二次大戦後,日本の海岸砂丘は防風林の整備または埋め立て・開発などにより大きく変容してきた。本研究では特に海岸林の造成と後背地の農地化によって改変され半自然状態にあるかつての海岸砂丘地を対象に海岸植生の現状を明らかにする。各地で高まりつつある海岸砂丘地の生物多様性,生態系サービス機能の保全について,利用形態の変更による向上可能性の予測を行い,海浜植生の保全と人間の利用が両立可能な管理方法について検討をおこなう。21年度は研究開始の年にあたり,a. 海岸砂丘地の土地利用の歴史的変遷の解明と,b.人間による利用・改変が行われている場所における海浜植生の現状の解明について調査をおこなった。 a. では砂丘地が保全されている鳥取砂丘と砂防林の定植により大部分が農地へと転換された北条砂丘について,国土地理院発行の過去の地形図,過去に撮影された空中写真,その他報告資料などを基に,GIS(地理情報システム)を利用して,過去からの土地利用変化を図化した。 b. では鳥取砂丘と北条砂丘について現行の砂丘地と改変されたかつての砂丘地での植生調査を平成21年度から開始し,鳥取砂丘の植生の現状について整理が完了した。 上記調査にあたりモバイルGISシステムを構築し,GPS(全地球測位システム)を用いて精度の高い空間解析を実現した。 aとbの結果について,日本造園学会ミニシンポジウム(東京)と日本生態学会第57回大会(東京)にて発表を行った。
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