研究概要 |
(1)予算の関係上、網羅的な新聞記事の検索は、朝日新聞と日経新聞に限定して行った。その結果、朝日新聞の記事数は1985年には34件にとどまっていたのに対し、年ごとに漸増し、1996年897件、1997年1750件と飛躍的に増え、2001年に2115件とピークを迎え、その後、漸減し、2010年には698件となっている。 (2)また、単なる新聞記事だけでなぐ、新聞各社の社説に産廃に関する社説の数も社会的関心の高まりを示す指標と考えることができるため、全国ほぼ全ての新聞社の産廃に関する社説を網羅的に調べた。その結果、上記(1)と同じ年度で調べると、新聞各社の社説の回数は、1985年には1件であったのに対し、96年は65件、97年は162件、01年は87件、10年は8件となっている。 (3)以上、(1)(2)の結果から、新聞記事数や新聞社の社説数の増減は、廃棄物処理法の大改正が1997年と2001年に行われたことと一致する結果となっており、社会的関心の高まりが、法改正を促したことがうかがえる。 (4)次に、量的な探索だけでなく、質的な探索として、上記社説の中から、特徴的と思われる社説を一部分収集した。これについての詳しい分析は、今後の課題であるが、暫定的な結論としては、産廃処理施設の近隣住民の以降を全く無視して設置計画を進めうる法制度の仕組みに強い反発が示されている。したがって、産廃処理施設設置に関する住民投票についても、好意的な社説が多い。 (5)産業廃棄物に関する裁判例については、2007年ごろまでの裁判例はほぼ収集し、検討を加えた。2008年以降の裁判例の収集・分析については、今後の課題である。さらには、裁判例が住民の意向に沿ったものとなる以前の、すなわち、1990年代前半の裁判例を集める,とも必要である
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