国内各都道府県における森林によるCO2吸収クレジット取引制度の実態について調査を行った。特に、日本で最初に制度を創設した高知県、そしてその他特徴ある取組みを行っている北海道、長野、九州での制度およびその運用実態についてヒヤリング調査等を実施した。いずれの事例でも、クレジット供給者と資金提供者との間に長期的な関係を「森林づくり協定」といった形で確保し、そのうえでクレジットのやりとりをしていることが判明した。 くわえて、滋賀県内での森林によるCO2吸収クレジット取引制度の確立の動きに参加し、参与観察を行った。制度に参加するクレジット供給者と資金提供者のそれぞれの動機、条件、制度運営側の費用負担などの課題が明らかになった。 また、近年の新たな動きであるJ-VER制度(国内でのボランタリーなCO2削減・吸収クレジット認定制度)についての認識を深めるため、同制度の説明会に参加するとともに、同制度に深く関与している山村再生支援センターに対し、ヒヤリング調査を実施した。 海外の事例について検討するため、京都議定書のもとでのクリーン・デベロップメント・メカニズムの事例、そしてカナダでのカーボンオフセット・プロバイダーの事例、森林によるCO2吸収クレジットの費用研究、について資料収集を行った。 本研究の調査対象である滋賀県内の森林・湿地の状況について資料収集・整理を行った。 以上により、次年度よりのアンケート調査、シミュレーション研究に向けた基本的な準備作業を完了することができたものと考える。
|