CO_2吸収クレジットの需要について明らかにするため、CSR企業総覧2011年版に記載のある1132社を対象として、「温暖化防止の取り組みに関するアンケート調査」を2011年2月~2011年4月にかけて実施した。283件の回答が得られ、回答率は25%となった。 排出量取引制度・クレジット制度に対する各社の意向を知るために、非規制シナリオ(法律や条例などによるCO2排出量削減義務の適用を受けない)、努力目標シナリオ(法律や条例などによって、CO2排出の原単位を毎年1%削減する努力目標を課せられる)、規制強化シナリオ(10年後においてCO2排出量を絶対量で現状から25%削減することが要求されるようになる)、のそれぞれの場合における実施の可能性を尋ねた。非規制シナリオの場合、「実施する」とする企業が36%、努力目標シナリオの場合は55%、規制強化シナリオの場合は74%と、約2割ずつ、参加の可能性が増大する。他の地球温暖化対策と比較して、いずれのシナリオの場合も、取り組み姿勢は全般的には消極的であった。 また、多変量解析の結果、排出量取引制度・クレジット制度についての認知度と相関のある要因が明らかになった。とくに、国内クレジット制度の認知と相関程度が大きな要因として、企業の特徴面では、業種、省エネ法指定の有無、従業員数、企業の環境取り組み事項としては、輸出比率、商品サービスの安全性に関する部署の存在、エネルギー集約度、があげられることが分かった。 以上より、どのような条件下、どのような企業においてCO_2吸収クレジットに対する需要が発生するかについて、基礎資料を得ることができた。
|