本年度は、家庭内の個人分類別のエネルギー消費の構造を、冷暖房、炊事、食事、洗濯、娯楽等の生活行動類型別に考察し、家庭内で個人のエネルギー需要が生活行動別にどのように発生するかを記述する数学モデルの開発を目標に、家庭内エネルギー需要発生のメカニズムを定式化した。実際に日本を対象にしたモデルを構築するために、個人の時間の使い方(行動分類別生活時間配分)と、エネルギー消費機器の保有と使用の状況、さらに、家庭内で使用される財(食材など)の投入量に関するパラメータの設定が必要となり、エネルギー消費機器の保有量、使用状況、種類、性能等のデータ、家庭が購入する財の数量、家庭内の世帯人員数のデータ等に関して、消費実態調査、国勢調査、家計調査等の統計資料に加えて、家庭内の冷暖房、食生活、家事、娯楽の行動に関するさまざまな調査資料、さらには、家族、家事、余暇等に関する社会学的な研究文献などを幅広く大量に収集した。 並行して、昨年度に収集し整備したアジア諸国における生活時間調査データの個人分類別の配分データを用いて、アジア諸国の家庭内でのエネルギー消費に伴う室内大気汚染物質排出の影響評価を行い、アジア諸国の人々の生活時間の使い方が、室内空気汚染物質によるリスクにどれだけどのように影響を及ぼすかを分析した。このテーマに関しては、その成果を、昨年7月にパリで開催されたInternational Associatioll for Time Use Research (IATUR)の年次会議で発表した。その後、発展途上国の人々の生活時間の使い方は都市部と農村部で大きく異なることが考えられるため、都市部と農村部における人々の生活(時間の使い方や燃料の使い方など)を考慮した評価へと発展させるための、文献とデータの収集を行った。
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