研究概要 |
(1)カタユウレイボヤのAPエンドヌクレアーゼ(CiAPE)を精製し、その特徴を解析した。CiAPEは分子量約34kDaのタンパク質である。CiAPEはテトラヒドロフラン(THF)を含む二重鎖オリゴヌクレオチドを効率よく切断した。また大腸菌のxth欠損株であるBW9093株を、CiAPEを組み込んだ発現ベクターで形質転換させたところ、その過酸化水素感受性が補完された。これらの結果よりCiAPEはカタユウレイボヤにおいて酸化ストレスに抵抗するようなAPエンドヌクレアーゼ活性を有することが示された。(2)大腸菌MutTのホモログは,酵母をはじめとする真核生物,植物,ヒトやマウスなどの高等動物からも見つかっており,8-oxo-dGTPの除去機能は生命の維持には欠かせないものであると推測される一方で,線虫C. elegansからはこの酵素のホモログが見つかっていない。C. elegansは発生および神経系の研究に適していると考えられモデル生物として用いられるようになったが,実験材料として優れた性質をもつことから酸化ストレスにおけるモデル生物として使えることも期待されており,そのためにストレス応答の機構の解明が現在の課題となっている。今年度の研究では、E. coli MutTやhuman MTHlとアミノ酸配列が相同であるC. elegansの遺伝子の候補を検索し、その中でC. elegans NDX-1は8-oxo-dGTPは分解しないが、8-oxo-dGDPを分解することがわかった。8-oxo-dGTPを分解する酵素は本研究では同定できなかったが、これまでに知られている8-oxo-dGTPaseとはアミノ酸配列の大きく異なった酵素が働いている可能性もあることから、別の実験によるアプローチを試み、数個の候補を得た。現在さらに解析中である。
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