研究課題/領域番号 |
21510060
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
根井 充 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター, グループリーダー (10164659)
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研究分担者 |
王 冰 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター, 主任研究員 (10300914)
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キーワード | 低線量放射線 / 放射線障害 / 適応応答 / マイクロアレイ / RNA干渉 |
研究概要 |
胎児マウスの死亡および発生異常を指標とした放射線適応応答の分子機構を解明する目的で、我々はcDNAマイクロアレイの解析を行い、放射線適応応答条件下特異的にTead3遺伝子、Csf1遺伝子およびCacna1a遺伝子の発現が変動することを明らかにした。昨年度、Tead3遺伝子とCacna1a遺伝子について、胎児マウス指趾原基細胞初代培養系を用いてRNA干渉法による遺伝子ノックダウンの実験を行い、遺伝子機能抑制条件下で放射線適応応答が消失することを観察した。そして、Tead3遺伝子とCacna1a遺伝子が放射線適応応答に重要な機能を果たしていることを明らかにした。一方、Csf1は胎児期の器官形成に関わる増殖因子であり、高線量単回照射では発現が上昇するものの、放射線適応応答条件下では変動しない遺伝子であるが、まだ遺伝子ノックダウンの実験はされていなかった。今年度、胎児マウス指趾原基細胞初代培養系を用いてRNA干渉法によりCsf1遺伝子のノックダウンを行い、放射線適応応答との機能的関連性を解析した。その結果、Csf1遺伝子ノックダウン細胞において放射線適応応答は顕著には観察されず、このことからCsf1遺伝子の放射線適応応答への機能的関与が示唆された。必ずしも明確な結論が得られなかった理由は、Csf1遺伝子のノックダウン効率が69%しかなかったことが一因と考えられる。実際、Csf1遺伝子は抗アポトーシスの機能を有することが報告されているものの、ノックダウン細胞でアポトーシスが亢進する現象は観察されなかった。
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