研究課題
平成21年度はワニ胚における生殖器および輸管系の分化について詳細なアトラス作りを目指してフロリダに出むき、フロリダ大学ジレット教授の下で飼育されているワニ卵の供与を受けたが、渡米の時期の関係でステージ初期14から20までであった。このステージにおける生殖器官および輸管系は今だ雌雄の分化が無く、中腎に付着した生殖腺に雌雄差はなく原生殖細胞が支持細胞とともに認められるに過ぎなかった。さらに生殖輸管系についてもウオルフ管とミュラー管が共存し未分化の状況であった。何れの管もステージ20日までに下部で合一し総排泄腔に開口した(太田)。平成22年度の性分化が生じるステージでの採材を予定している。勝は申請書提出前にフロリダ大学河野助教が固定していたDNAおよびRNAサンプルを用いて性分化における温度要因について調べた。HSP27、40、47、60、70、90、108およびHSP結合タンパク質などをクローニングした。これらの全ての遺伝子は性分化の温度感受性期に発言していた。さらにHSP27と70に性による二相性の発現が認められた。これらの結果は,分化の温度感受性に生殖腺中のヒートショックタンパク(HSP)が関与していることを示唆しており、研究代表者ならびに研究協力者と協議して論文公表を行った(雑誌論文1)。太田はさらに申請書提出前に得た未熟ワニ卵管組織を用いてワニで作成したESR1抗体および市販抗体の交差性をウエスタンブロッティング法でスクリーニングし、同時に免疫組織学法により組織中のタンパク交差性と局在を調べ、生殖腺および輸管系の分化におけるESR1発現追究の予備的研究とした。その結果、ワニ特異抗体と市販抗体の1種が良好にESR1を認識することを見出し国際学会で報告した(e. hormone, 2009)。
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Sexual Development 4
ページ: 73-87