研究課題
ワニ胚の性分化にともなう生殖腺と生殖輸管系の発達について詳細な発生図譜の作成を行い、それにともなう関連因子の研究を平成22年度に引き続き実施した。主たる成果は次の通りである。1.雌ワニ胚の発生における性ホルモン受容体(エストロゲン受容体、黄体ホルモン受容体)の発現に関する研究性ホルモン受容体(ER,PR)のミュラー管と生殖腺における発現を免疫染色で追究し、先ずERがM管と性分化中の生殖腺に発現し、それに続きPRが発現するが、孵化直後(Stage 26)においてもM管にはPRの発現が見られない。卵巣はS25でPRの発現が見られることから、卵巣におけるエストロゲンの合成は、性分化が完了する時期であるS25に開始することを明らかにした(太田)。2.アメリカンアリゲーターの発達における性ホルモンと甲状腺ホルモン受容体の発現についてジレットサウスカロライナ教授との共同研究として実施し、孵化後間もなくの時期、幼弱期、成体期ともに全ての性ホルモン受容体(ERα&β、PR、AR)とTRα&β)が発現していることを免疫染色、リアルタイムPCRで証明した。これらの結果は性ホルモンが甲状腺ホルモンの発達と分泌活動に影響を持っていることを示しており、性ホルモン機能を有する内分泌かく乱物質の甲状腺軸への影響を示唆している(太田)。3.アメリカンアリゲータの副腎皮質ホルモン受容体のクローニングと特性に関する研究副賢皮質ホルモンは二種のコルチコイドに区別され、糖質コルチコイドは炎症、免疫機能の調節に関与する。内分泌かく乱物質の水棲動物における影響は性ホルモン作用以外に免疫機能への影響が危惧されていることからワニを含む爬虫類の副腎皮質ホルモン受容体(CR)のクローニングは影響評価に貢献可能である。共同研究者の勝博士はワニにおいて初めてCRの全長のクローニングに成功し、現存投稿中である(勝)。
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