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2011 年度 実績報告書

環境アンドロゲンバイオマーカー(スピギン)の合成における2種ARの役割解明

研究課題

研究課題/領域番号 21510069
研究機関長崎大学

研究代表者

長江 真樹  長崎大学, 大学院・水産・環境科学総合研究科, 准教授 (00315227)

研究分担者 征矢野 清  長崎大学, 環東シナ海海洋環境資源研究センター, 教授 (80260735)
東藤 孝  北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (60303111)
キーワードバイオマーカー / 環境ホルモン / イトヨ / 男性ホルモン / スピギン
研究概要

トゲウオ科魚類のイトヨ雄は、繁殖期に巣作りのために腎臓でスピギンと呼ばれる粘着タンパクを産生する。このタンパクは男性ホルモン特異的に産生されるため、男性ホルモン作用をもつ化学物質に対する優れたバイオマーカーである。申請者らはこれまで、スピギン遺伝子のクローニングおよび高感度測定系を確立し、化学物質のアンドロゲン作用検出の準備を進めてきた。本研究では、本バイオマーカー産生を仲介する重要な調節因子である男性ホルモン受容体の関与を直接的に証明し、環境ホルモン研究における本バイオマーカーの利用のための論理的裏付けを付与する。
平成21年度には、イトヨARαおよびβcDNAの遺伝子クローニングおよびそれぞれのmRNAを測定するためのリアルタイム定量RT-PCR測定系を構築し、昨年度(平成22年度)には、男性ホルモンを曝露した際め両受容体遺伝子の発現変化を観察した。その結果、雌雄とも腎臓での発現はARαの方がARβに比べて10倍以上も高発現であることが明らかとなった。また、男性ホルモン曝露によって両遺伝子の発現量は減少したが、その減少度合いはβの方が顕著であり、男性ホルモン曝露によりβの発現はほぼ消失した。これらの結果から、腎臓でのスピギン合成に関与するのは主にARαであり、本バイオマーカーの定量により検出される男性ホルモン作用は、主にARαを介してのものであることが示唆された。
そこで本年度(平成23年度)では、昨年度定量RT-PCR測定系を用いて明らかにした男性ホルモン曝露時のAR mRNA発現変化を、in situ hybridization法を用いて組織学的に解析した。定量RT-PCRにより得られた結果と同様、腎臓組織上においてもARαの方がARβよりも高発現であり、特にARβの陽性シグナルは殆ど検出されなかった。また、スピギンとARは同一の細胞で発現していることが明らかと成った。定量RT-PCR法で観察された男性ホルモン曝露によりARαmRNA濃度の低下は、in situ hybridization法による観察では明瞭ではなく、曝露期間中の陽性シグナル強度に大きな変化は認められなかった。
以上の結果から、イトヨ腎臓でのスピギン合成にはARαが必須であると結論付けた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Comparative responsiveness to natural and synthetic estrogens of fish species commonly used in the laboratory and field monitoring2012

    • 著者名/発表者名
      Lange A., Katsu Y., Miyagawa S., Ogino Y., Urushitani H., Kobayashi T., Hirai T., Shears J.A., Nagae M., Yamamoto J., Ohnishi Y, Oka T., Tatarazako N., Ohta Y., Tyler C.R., Iguchi T.
    • 雑誌名

      Aquatic Toxicology

      巻: 109 ページ: 205-258

    • DOI

      doi:10.1016/j.aquatox.2011.09.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of ethynylestradiol on vitellogenin synthesis and sex differentiation in juvenile grey mullet (Mugil cephalus) persist after long-term exposure to a clean environment2011

    • 著者名/発表者名
      Aoki J., Hatsuyama A., Hiramatsu N., Soyano K.
    • 雑誌名

      Comparative Biochemistry and Physiology Part C

      巻: 154(4) ページ: 346-352

    • DOI

      doi:10.1016/j.cbpc.2011.07.001

    • 査読あり
  • [学会発表] イトヨ腎臓での男性ホルモン刺激によるスピギン合成にはARαが必須である2011

    • 著者名/発表者名
      長江真樹, 松尾昴, 瀬川卓也, 東藤孝, 勝義直, 井口泰泉, Alexander P. Scott, Ioanna Katsiadaki
    • 学会等名
      第14回環境ホルモン学会研究発表会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-12-01
  • [学会発表] トビハゼを用いた干潟における環境ホルモン汚染の影響評価2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木絢子, 長江真樹, 征矢野清
    • 学会等名
      第14回環境ホルモン学会研究発表会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-12-01
  • [学会発表] 使用方法の異なるPPCPsをマーカーとして用いた河川水の生活排水等による汚濁パターンの分類法の開発2011

    • 著者名/発表者名
      三浦嘉仁, 山城詩織, 山中潤二, 久保隆, 長江真樹, 有薗幸司, 高尾雄二
    • 学会等名
      第20回環境化学討論会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      2011-07-17

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公開日: 2013-06-26  

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