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2010 年度 実績報告書

木本植物を用いた重金属汚染土壌のファイトレメディエーション法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21510085
研究機関滋賀県立大学

研究代表者

原田 英美子  滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (20232845)

キーワード植物 / ヤナギ / ファイトレメディエーション / カドミウム / 分泌組織 / トランスクリプトーム解析 / 蛍光X線分析 / イオウ代謝
研究概要

本課題の初年度における成果の一つとして、ヤナギ葉の分泌組織である鋸歯の先端の細胞にカドミウムや他の金属類が蓄積していることを明らかにしている。本年度は鋸歯の性質や重金属蓄積機構につき、さらに詳細に調べた。放射光蛍光X線分析法(micro-XRF)および低真空型SEM-エネルギー分散型X線分析法(VPSEM-EDX)を用いて、長期間重金属処理したヤナギ葉の鋸歯の内部および表面の元素分布を観察したところ、鋸歯の先端細胞は金属を蓄積しているが、分泌はしていないことが判明した。このように、ヤナギ葉鋸歯の先端細胞は、高濃度の重金属濃度に耐性を持ち、重金属集積能があることが示された。
この細胞で機能している重金属集積に関する遺伝子の解明を試みたが、葉から鋸歯先端細胞のみを選択的に切り出すのは困難を極めた。そこで、葉表面に毛状の分泌組織(トライコーム)を持つ草本植物であるタバコに着目し、これをモデル系として用いることにした。タバコ葉表面の毛状分泌組織は、その構造上比較的容易に回収することができる。これを用いて、組織特異的遺伝子ライブラリを作成、トランスクリプトーム解析を行った。スコアの高い遺伝子について、RT-PCR法を用いてトライコームと葉全体で遺伝子発現量を比較した。その結果、病原応答性タンパク質であるnon-specific lipid transfer protein、 metallocarboxypeptidase inhibitorとなどの、システイン含有量が高く比較的低分子のタンパク質をコードする遺伝子がトライコーム特異的に発現していることが判明した。また、組織内のグルタチオンを蛍光標識し、共焦点レーザー顕微鏡を用いて可視化、非破壊的に定量した。すると、トライコーム先端の細胞でグルタチオン濃度が高く、さらにグルタチオンペルオキシダーゼをコードする遺伝子の発現も高かった。これらの結果から、葉の分泌細胞における重金属解毒機構にはイオウ代謝系が関連している可能性があることが示唆された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Characterization of cadmium accumulation in willow as a woody metal accumulator using synchrotron radiation-based X-ray microanalyses.2010

    • 著者名/発表者名
      Harada E, Hokura A, Takada S, Baba K, Terada Y, Nakai I.Yazaki K.
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiology

      巻: 51 ページ: 848-853

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The expression profiling the tobacco leaf trichomes identified of genes for chemical defense mechanism against biotic and abiotic stresses.2010

    • 著者名/発表者名
      Harada E, Kim JA, Meyer AJ, Hell R, Clemens S, Choi YE
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiology

      巻: 51 ページ: 1627-1637

    • 査読あり
  • [学会発表] タバコ(Nicotiana tabacum L.)葉トライコームのカドミウム蓄積および排出に関与する遺伝子の探索2011

    • 著者名/発表者名
      原田英美子, 他8名
    • 学会等名
      日本植物生理学会第52回年会
    • 発表場所
      東北大学(仙台、震災のため開催中止)
    • 年月日
      20110320-20110322
  • [学会発表] Elucidation of metal accumulation and homeostasis in plants using synchrotron-radiation based X-ray microanalyses.2011

    • 著者名/発表者名
      原田英美子
    • 学会等名
      日本農芸化学会大会シンポジウム"Plant Stress and Biotechnology Perspective"
    • 発表場所
      京都女子大学(京都、震災のため開催中止)
    • 年月日
      2011-03-28
  • [学会発表] 放射光で植物の重金属耐性メカニズムを観る2010

    • 著者名/発表者名
      原田英美子
    • 学会等名
      京都植物バイテク談話会 第16回 植物バイテクシンポジウム 植物機能を観る、見る、視る、診る、みる
    • 発表場所
      京都府立大学(京都)
    • 年月日
      2010-06-17
  • [学会発表] 元素イメージングによる植物の重金属耐性・蓄積機構の解明2010

    • 著者名/発表者名
      原田英美子
    • 学会等名
      第8回 C-Bioセミナー
    • 発表場所
      宇都宮大学(宇都宮)
    • 年月日
      2010-01-21
  • [学会発表] 重金属集積植物の機構解明とその応用2010

    • 著者名/発表者名
      原田英美子
    • 学会等名
      総合生命科学部 第11回 バイオフォーラム2010
    • 発表場所
      京都産業大学(京都)
    • 年月日
      2010-01-07
  • [備考] 滋賀県立大学

    • URL

      http://www.ses.usp.ac.jp/shigen/html/harada.html

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公開日: 2012-07-19  

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