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2011 年度 実績報告書

木本植物を用いた重金属汚染土壌のファイトレメディエーション法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21510085
研究機関滋賀県立大学

研究代表者

原田 英美子  滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (20232845)

キーワード植物 / ヤナギ / ファイトレメディエーション / カドミウム / 重金属集積植物 / 高輝度放射光 / 蛍光X線分析 / アポプラスト
研究概要

本年度はフィールドワークの手法を取り入れ、カドミウム、亜鉛、鉛、銅による複合汚染が確認されている鉱山跡地で生育しているカワヤナギ類縁種を採集し、重金属を集積しているかどうかを調べた。ヤナギが生育している土壌も同時に採取、重金属濃度を測定することにより、土壌の金属がどの程度植物に移行、濃縮されているかを示す濃縮係数(Enrichment Factor)を算出した。カドミウムと亜鉛が土壌からヤナギ植物体に効率よく吸収されていた。特に、カドミウムの濃縮係数は高く、野外での土壌からの有害金属の除去にヤナギが利用できることを示した。SPring-8の高輝度放射光を用いた蛍光X線分析(μ-XRF)によりカドミウムの植物体内での分布を詳細に分析したところ、カドミウムは細胞内(シンプラスト)よりむしろ細胞間隙(アポプラスト)に蓄積されていた。μ-XANES法で化学形態を測定したところ、Cd-0であったことから、ペクチンやリグニンなどの細胞壁成分とカドミウムが相互作用していることが考えられた。しかし、実験室内でヤナギのポット苗を用いて汚染土壌からの元素の収奪を調べたが、1年程度の短期間の処理では顕著な土壌カドミウム含有量の低下はみられなかった。このことから、木本植物を用いたファイトレメディエーションは、数年単位の時間を要することが考えられた。また、植物アポプラストの機能を有効に発揮させることで、より効率的な重金属除去技術の開発が可能であることも示唆された。
2011年3月に発生した東日本大震災の影響により起きた福島第一原子力発電所の損傷のため、拡散した放射性元素による環境汚染が広がっている。このうち、ストロンチウムは本研究で主に取り扱ってきたカドミウムと比較的性質が近いことから、ヤナギを用いた環境中の放射線ストロンチウムの除去が可能かどうか予備的検討を行った。その結果、ヤナギの種によって、培地や土壌からの植物へのストロンチウム移行に差がみられることが判明した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Assessment of willow (Salix sp.) as a woody heavy metal accumulator : field survey and in vivo X-ray analyses2011

    • 著者名/発表者名
      Harada E, 他8名
    • 雑誌名

      Metallomics

      巻: 3 ページ: 1340-1346

    • DOI

      10.1039/C1MT00102G

    • 査読あり
  • [学会発表] タバコ葉トライコームのカドミウム蓄積および排出に関与する遺伝子の探索2012

    • 著者名/発表者名
      原田英美子、金志娥、Andreas J.Meyer、Ruediger Hell、Stephan Clemens、崔龍義
    • 学会等名
      日本農芸化学会2012年度大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都)
    • 年月日
      2012-03-24
  • [学会発表] ヤナギ(Salix sp.)の重金属集積に関する研究:野外調査および放射光蛍光X線分析法2011

    • 著者名/発表者名
      原田英美子、保倉明子、中井泉、寺田靖子、馬場啓一、矢崎一史、水野直治、水野隆文
    • 学会等名
      日本植物細胞分子生物学会第29回年会
    • 発表場所
      九州大学(博多)
    • 年月日
      2011-09-07
  • [学会発表] 植物の重金属集積機構に関する研究とその応用2011

    • 著者名/発表者名
      原田英美子
    • 学会等名
      近畿作物育種研究会第71回例会
    • 発表場所
      滋賀県立大学(彦根)(招待講演)
    • 年月日
      2011-07-09
  • [学会発表] Assessment of heavy metal accumulation in a woody metal accumulator willow (Salix sp.) :a field survey and in vivo X-ray analyses2011

    • 著者名/発表者名
      Harada E, Hokura A, Nakai I, Terada Y, Baba K, Yazaki K, Mizuno N, Mizuno T
    • 学会等名
      3rd International Symposium on Metallomics
    • 発表場所
      ミュンスター大学(ドイツ、ミュンスター)
    • 年月日
      2011-06-18
  • [備考] 滋賀県立大学

    • URL

      http://www.ses.usp.ac.jp/shigen/html/harada.html

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公開日: 2013-06-26  

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