消泡装置で泡をコントロールし、微生物反応器内に泡沫層を存在させながらバイオサーファクタントを生産する方法について検討した。 1. 培養液部および泡沫層におけるバイオサーファクタントの分離特性 平成21年度に開発した消泡装置を微生物反応器に取り付け、泡沫層存在下でリポペプチド型バイオサーファクタント生産菌Bacillus subtilis ATCC21332を好気的に培養した。培養3時間後に、安定した泡沫層が形成された。泡沫の液含率は22%程度であり、培養期間中の変化は小さかった。バイオサーファクタント濃度は、培養液部と泡沫層に分けて評価した。泡沫層のバイオサーファクタント濃度は、培養液部に比べて高い値を示した。これは、生産されたバイオサーファクタントが培養液部から泡沫層に速やかに分離していることを示唆している。バイオサーファクタントの生産量が増えるにつれて、泡沫層へのバイオサーファクタントの濃縮比は減少する傾向にあった。 2. バイオサーファクタントの生産性と回収率からみた最適培養および操作条件 通気条件を変化させて、バイオサーファクタントの生産性と回収率を検討した。バイオサーファクタント生産量は、通気量1.0L/minの場合に比べて、2.0L/min以上の場合の値が著しく大きかった。48時間培養終了時のバイオサーファクタント生産量は、最大で約800mgであった。一方、バイオサーファクタントの回収率については、通気量の低い1.0L/minの条件の方が高い値を示した。しかしながら、いずれの通気条件においても、培養終了時の回収率は40~60%の範囲にあった。培養液部から残りのバイオサーファクタントを回収するため、培養終了後に泡沫分離操作を実施した。通気量1.0L/minで1時間泡沫分離を行うことにより、バイオサーファクタントの回収率を最大92%まで高めることができた。
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