次世代の原子スケールでの半導体デバイスを実現するために、サーマルバジェットを極限まで抑えたHigh-k絶縁膜の室温原子層堆積法の開発を行った。この研究では、表面化学修飾法によるシリコン酸化膜上のハイドロキシル化を行うための励起OHラジカル源を作製し、それを用いて原子層堆積装置としての構築を進めた。H21年度では、水蒸気源を開発し、原子層堆積装置に組み込み、SiO_2膜形成試験でその有効性を確かめた。そこからH22年度では、LSI用途で実現が期待されているHfO_2膜について形成試験を試み、プロセス条件を抽出するに至った。 研究において、HfO_2膜の原子層堆積の素過程解析をおこなった。その結果、トリメチルハフニウムを原料として用い、室温での照射量と吸着量の関係を詳細に取得し、吸着確率を明らかにするとともに、吸着に必要なサイト数、吸着反応モデルを明らかにすることができた。また原子層堆積の素過程の一つであるオゾンによる酸化についても、酸化に必要な照射量を明らかにすることができた。堆積膜の品質に大きく影響する未反応として残留する炭化水素の抑制方法についても検討を行った。吸着反応を維持するための、表面のハイドロキシル化について、前年度開発を行った温度制御を行った水蒸気処理がHfO_2についても有効であることを確認することができた。これら研究成果に基づいて、high-k膜を用いたMOsデバイスを低温で試作するためのプロセス条件表の整備を行い、デバイス評価試験の準備を行った。
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