次世代の原子スケールでの半導体デバイスを実現するために、サーマルバジェットを極限まで抑えたHigh-k・絶縁膜の室温原子層堆積法の開発を行った。この研究では、表面化学修飾法によるシリコン酸化膜上のハイドロキシル化を行うための励起OHラジカル源を作製し、それを用いて原子層堆積装置としての構築を進めた。H21年度では、水蒸気源を開発し、原子層堆積装置に組み込み、SiO_2膜形成試験でその有効性を確かめた。そこからH22年度では、LSI用途で実現が期待されているHfO_2膜について形成試験を試み、プロセス条件を抽出するに至った。最終年度であるH23年度では、上記技術を用いて開発した低温(160℃)ALD技術を用いてMOSデバイスを試作し、デバイス特性に基づいて、上記技術の有効性をあきらかにした。その結果、SiO_2を用いたMosデバイスでは、絶縁耐圧として3~11MV/cmで、C-V特性のヒステリシスも0.2V以内と良好な特性を得ることに成功した。 以上開発した160℃ALD法をさらに低温化するために、水蒸気プラズマを用いることを考案し、その試作試験を行った。その結果、室温でも表面酸化およびハイドロキシル化が可能であり、160℃からさらに室温まで低温化できる可能性を見出した。 上記研究の過程で、ALD反応の素過程として、原料となるテトラメチルアミノシラン、テトラエチルメチルアミノハフニウムのSi表面への吸着反応モデル、およびオゾンによる酸化反応について明らかにすることができ、ALD設計のための反応速度に関するデータを収集することができた.
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