本研究課題は、触媒特性や選択的光吸収性などの付加価値をつけた機能性ナノ粒子を高効率に創製する技術開発を目指している。液体中に浸されたターゲットにレーザー照射を行う液相レーザーアブレーション法による微粒子生成過程では、レーザー照射によって誘起されるアブレーションプラズマおよびキャビテーションバブルの高温・高圧反応場が大きく寄与していると考えられる。本研究では、これらの反応場に超音波振動場を付加的に重畳させることにより、反応場の状態制御を行い、機能性ナノ粒子を高効率に創製する新規な技術開発を試みる。初年度の平成21年度は、印加する超音波の音圧変化がアブレーション反応場に及ぼす影響について調べた。小型の実験容器を作製し、その底部分に32kHzの振動周波数を有する振動子を取り付けた。蒸留水で満たされた容器内を底から上方に向かって超音波を伝搬させ、容器内に音波の定在波を発生させた。定在波の腹の部分において最も圧力変化が生じることから、その位置にターゲット設置してレーザー光を集光照射した。レーザー照射時の超音波の位相を0から360度まで変化させて、アブレーション現象の時間変化をシャドウグラフ法等により観察した。その結果、音圧が最も低い時間にレーザー照射を行うと生成される反応場がより膨張することがわかった。更に、レーザー誘起キャビテーションバブルの振舞いが音圧によって支配され、膨張・収縮・崩壊がターゲット上で繰り返し生じる現象を明らかにした。更に、印加する音波の周波数依存性を調べるための装置を製作したが、詳細な実験は次年度に繰り越した。
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