研究課題
本研究課題は、触媒特性や選択的光吸収性などの付加価値をつけた機能性ナノ粒子を高効率に創製する技術開発を目指している。液体中に浸されたターゲットにレーザー照射を行う液相レーザーアブレーション法による微粒子生成過程には、レーザー照射によって誘起されるアブレーションプラズマおよびキャビテーションバブルの高温・高圧反応場が大きく寄与していると考えられる。本研究では、これらの反応場に超音波振動場を付加的に重畳させることにより、反応場の状態制御を行い、機能性ナノ粒子を高効率に創製する新規な技術開発を試みる。平成22年度は、金および亜鉛をターゲット材として用い、ナノ粒子生成に関する超音波印加の効果について調べた。その結果、ターゲット材の種類に依らず超音波を印加することにより粒子の生成効率が増すことがわかった。この効果は、得られたコロイド状粒子の光吸収特性により明らかにした。加えて、超音波印加により、生成されたナノ粒子の結晶性が向上することも明らかにした。XRDの測定結果より、金微粒子の場合には、結晶子サイズの増加が見られた。亜鉛の場合には、酸化亜鉛微粒子が形成されるが、ほぼ非晶質の状態から超音波印加による結晶化の進行が観測された。超音波を印加しないで生成したコロイド状粒子に、後処理として超音波を印加しても、これらの効果は得られなかったことから、アブレーション反応場に圧力振動場を重畳させることが重要であると考えられる。しかしながら、レーザー強度や超音波の周波数によりその効果に違いがあることも観測しており、次年度にこれらの効果が得られる実験条件の範囲を調べる予定である。
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