研究課題/領域番号 |
21510120
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
梅津 郁朗 甲南大学, 理工学部, 教授 (30203582)
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研究分担者 |
吉田 岳人 阿南工業高等専門学校, 教授 (20370033)
杉村 陽 甲南大学, 理工学部, 教授 (30278791)
坂本 直道 いわき明星大学, 科学技術学部, 助教 (70275650)
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キーワード | レーザーアブレーション / ナノ結晶 / 非平衡プロセス / レーザープロセッシング / 結晶成長 / プルーム |
研究概要 |
ガス中でのレーザーアブレーション法を用いるとナノ結晶の生成が可能である。本研究は二つのターゲットから発生するプルームをナノ結晶の成長過程で衝突させることで成長過程の制御を行い、ナノ結晶の構造制御を行うことが目的である。まず前年に引き続きSiとGeをターゲットとしたプルームの正面衝突過程の観察を行った。雰囲気ガス圧を変化させたところ、低ガス圧では放出ガス種は分子流的に振る舞うため、また高ガス圧下ではプルームの閉じ込め効果が顕著となるため、プルームの衝突の影響を強く受けなかった。これらに対して270Pa程度においては二つのプルームの衝突の影響は顕著であると言う結果が得られた。このプルームの衝突過程をより深く理解するため、流体シミュレーションも行った。その結果、流体モデルが成立する範囲では定性的に実験と同様な結果が得られ、さらに対向プルームの衝撃波の影響も無視できないことが明らかになった。二つのプルームの衝突位置に堆積基板を配置し堆積物の透過電子顕微鏡撮影を行ったところ、ナノ粒子の堆積が観察された。このナノ粒子に対して数nmの空間分解能で成分分析を行ったところSiとGeの信号が得られた。270Paで作製された試料は空間的に均一でSiとGeの混晶と考えられるが、2700Paで作製されたものは局所的に組成比の均一性に変化が見られる部分があり、SiとGeナノ結晶の複合体が得られている可能性が示唆された。以上のように本研究では衝突によるプルームの挙動を明らかにし、複合体構造を形成する条件を提示した。二つのプルームを正面衝突させてナノ結晶を作成した例はなく新しい複合ナノ結晶作成技術を提示できたことが重要な結果である。この方法は制御パラメータも豊富であることから今後の構造制御の任意性と発展性が高いと考えられる。
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