研究課題
本研究では、ハイスループットに細胞懸濁液からの単一細胞分離を行うことができるdisk上で、単一細胞の発現遺伝子を確認する手法を確立することを目的とし研究している。昨年度確立した、Jurkat Cell発現遺伝子を本disk上でRT-PCRする方法に基づき、流路に10-400cells/mlの濃度の細胞をRT-PCR試薬とともに、1流路に1μLづつ流し、1流路に約300個あるマイクロチャンバーに細胞を単離したのち、加熱による細胞膜損傷、GAPDHm-RNAの逆転写反応、PCR(40サイクル)を行い、Double Dye probeを用いて、各チャンバーでの蛍光強度の増加をイメージングアナライザによって測定した。蛍光強度が増加したチャンバーの数は、細胞濃度の増加に対応して、増加した。また、各濃度において、1流路でチャンバーに捕捉される細胞数と、蛍光強度が増加したチャンバー数の相関関係を調べたところ、相関係数0.96の正の相関関係が得られ、単一細胞中の発現遺伝子が本研究で用いたマイクロ流路上で、検出できることが確認された。この成果を、2011年9月にサンフランシスコで開催されたsingle cell analysis summitで発表しBest Presentation賞を授与された。また、Analyst誌に論文として投稿し、受理された。この論文では、我々が考案した単離細胞からm-RNAを抽出する操作を行わず、加熱、温度変化のみで細胞膜破壊からRT-PCRを行う方法をHot Cell Direct RT=PCR法として提案し、この方法が認められた。さらに、イメージングアナライザでは、蛍光画像の取得方法の限界から、高い精度での測定ができないため、蛍光顕微鏡で流路上のチャンバーの蛍光画像を取得し、個々のチャンバーの蛍光強度を得られたイメージから数値化する方法について検討を進めている。
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http://home.soka.ac.jp/~kubo/