CMOSプロセスとMEMSプロセスとの互換性確認を目的に、アルミ/ポリSiとn型ポリSi/p型ポリSiのサーモパイルが製作できる協力企業のCMOSプロセスの利用を前提にして、ポストシリコン工程で非冷却赤外線センサ用の中空構造を作製するプロセスを設計し、プロセス確認用のTEG(Test Element Group)を試作、評価した。その結果、CMOSプロセス中で成膜できる絶縁膜を赤外線吸収層に用い、CMOSプロセス後、表面からのバルクマイクロマシニングプロセスにより期待した感度を有するサーモパイル赤外線センサが作製可能で、マイクロマシニングプロセス前に形成したCMOS回路も正常に動作することを確認した。 前年度、増幅器で問題になったチャネル長変調による利得の飽和の問題に関し、シミュレーションで解決策を検討したが、現状プロセスにより製作するCMOSでは、数百倍の利得が限界であることが分かり、今年度は回路TEGの再試作を延期し、検出器側の感度向上により全体としての性能を満たす検討を行った。具体的には、大気中で動作するタイプの検出器で大気を通した熱伝導を減少させる画素レイアウト検討と、真空中で動作する検出器で、支持脚長さと受光部面積のトレードオフをシミュレーションと実験で行い、最適設計手法を確立した。 また、赤外線位置センサIRPSD (Infrared Position Sensitive Detector)の新規なアナログ信号処理回路については、ブレッドボードからの出力をパソコン上に表示するソフトウエアを開発し、回路とソフトが正常に機能することを確認した。
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