シリコーンゴム中に保持した液滴を変形させたときの発光特性の変化について実験を行った。初年度の実験で、シリコーンを1%程度圧縮して液滴をわずかに変化させたときには、ウィスパリングギャラリー(WG)モードの発光ピークが、長波長または短波長側にわずかに移動するのが見られた。しかし、シリコーンを10%以上変形させると、圧縮方向への発光が消失することが分かった。一方で、圧縮と垂直な方向では強い発振ピークが観測されたことから、楕円体に変形した液滴の場合、楕円形の断面よりも円形の断面の方がWGモード発振が起こりやすいことが示唆された。 共鳴発光の指向性や偏光依存性についても実験を行った。液滴を上方(z方向)から光励起し、励起方向とは垂直な2つの方向(x方向とy方向)に出た発光を観測したところ、わずかに異なる波長帯で共振ピークが観測された。もしxy面でWGモードが発振しているとすれば両方向で同じ発光を観測していることになり、スペクトルが一致するはずであるが、そうならなかったことから、WGモードはxz面とyz面で発振していることが分かった。これは、励起光が入射する液滴の上部で強く発光が起こるためと考えられる。また、これらの発光を偏光子を通して観測したところ、x方向とy方向のどちらでも水平方向の偏光が強く、液滴径が大きいほど偏光による違いが大きくなることが分かった。水平方向の偏光は、xz面およびyz面を周回する光ではTEモードに相当することから、液滴中ではTEモードの方がTMモードよりも励振されやすいと推定される。 液滴を配列させる方法については、新たに超音波トラップ法を開発し、シリコーン中に色素液滴を3次元配列させることに成功した。 以上の結果を含め、3年間の研究期間で得られた成果をまとめ、論文投稿、学会発表などを行った。
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