研究課題/領域番号 |
21510133
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
広瀬 喜久治 大阪大学, 工学研究科, 特任教授 (10073892)
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研究分担者 |
後藤 英和 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (80170463)
稲垣 耕司 大阪大学, 工学研究科, 助教 (50273579)
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キーワード | 時間依存密度汎関数法 / 電子デバイス / エネルギー回生 / 微細トランス / 実空間差分法 / 鈴木トロッター公式 / レールウェイアルゴリズム |
研究概要 |
本研究では、時間依存シュレーディンガー方程式および密度汎関数法に基づいた時間発展計算を長いシミュレーション時間にわたって安定に実行するための計算プログラムの開発を行っている。これまでに開発した時間発展計算プログラムは主に次の2つを特徴とする。1.ハミルトニアン演算子の指数演算の実行において、これまで開発している実空間差分法(中心差分)に加えて鈴木・トロッターのスプリットオペレータを適用することにより、ベッセル関数で表現された高精度時間発展スキームを作成しこれを用いていること。2.レールウェイアルゴリズムを用いてタイムステップΔtの半分の時点でのハミルトニアン推定精度を向上させ、セルフコンシステント計算を高精度化した方法を採用したこと。これらに基づく計算精度向上により0.01a.u.程度の大きなタイムステップでも波動関数のノルムが長計算時間にわたって保存する計算を実現した。このような高いノルム保存性の実現は実際のシミュレーションを実行するうえで非常に重要であり、量子力学的時間スケールと古典電気回路的時間スケールの間の領域を解析するのにきわめて重要である。水素原子に交播電場を加えた計算において時間発展計算の印加電磁場の周波数と励起エネルギーがうまく合致しない問題が生じ、その検討を主に行った。時間発展計算で起こる電荷密度変化に伴うポテンシャル変化が交換相関ポテンシャルとうまくキャンセルしないことが原因と考えた。電子数が多い系ではその効果が相対的に小さいため、誤差は抑制できるものと考えられることから、今後は計算時間が長くなるが電子数の多い系での計算を実施していく予定である。
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