研究課題/領域番号 |
21510134
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岡本 敏弘 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (60274263)
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研究分担者 |
原口 雅宣 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20198906)
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キーワード | 金属分割リング / メタマテリアル / 表面プラズモン / LC共振 / 磁気応答 / 散乱光スペクトル / 微小球リソグラフィ |
研究概要 |
1. 可視光で動作する分割リング構造の作製技術の確立 ポリスチレン微小球をマスクにして基板上に銀を真空蒸着し、アルゴンガスでスパッタリングする微小球リソグラフィ法を用いて、直径が約100nm程度で、2箇所にギャップがある銀分割リング構造の作製を試みた。蒸着やスパッタリングの角度や時間などを制御して目的に近い構造物が作製できたが、再現性に乏しく、可視光でLC共振するかどうかの確認はまだとれていない。また、直径の小さなポリスチレン微小球を用いて分割リング構造の小型化も試みたが、微小球が凝集する問題のため、100nmよりも小さい単体の銀分割リング構造作製はまだ成功していない。引き続き作製条件の最適化を進める必要がある。なお、直径130nm程度の分割リング構造は作製可能になった。 2. 分割リング構造のLC共振時特有の光学特性の観測 顕微分光光学系を改良してS/Nを向上させ、1個の分割リング構造の散乱光スペクトルを波長400~1600nmで観測できるようにした。作製した直径130nmの分割リング構造に垂直に光を入射したとき、入射偏光によって散乱光スペクトルが大きく異なることを確認した。 3. 分割リング構造の光学特性の解明 有限差分時間領域法を用いた計算機シミュレーションを用いて分割リング構造のサイズがLC共振周波数や電磁界増強に与える影響について詳しく調べ、短波長動作に適したサイズパラメータについて検討した。また、作製した分割リング構造のサイズを電子顕微鏡で確認し、その値を用いて分割リングのまわりの電磁界強度スペクトルを計算したところ、そのピーク波長は散乱スペクトル実験結果とよく一致することがわかった。さらに電界や磁界分布の計算結果から、作製した分割リング構造が波長1000nmと550nm付近でLC共振による磁気応答を示していることを明らかにし、メタマテリアルの基本構造として動作していることを裏付けた。
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