研究概要 |
本年度は,利用者の確率的需要を考慮にいれる方法について研究を進めた.待ち行列に到着する客がバスとタクシーなどのような2種類の方法のどちらを選択するかの理論モデルの構築,確率的な需要データが与えられたとき,時間を決めてオンデマンドバスを運行するのがよいのか,時間を決めずに予約があったときにバスを運行するのがよいかの比較を実行するためのモデル製作が本年度の成果である. 自家用車をもたない住民にとり,バスとタクシーは代表的な交通手段である.このような需要に対して2種類の需要を満たす手段がある場合,どちらを選択するかは様々な要因で決められる.しかしどちらを選択するかに必要な情報はかならずしも全部が手に入るわけではない,例えばバスを利用するか,タクシーを利用するかを待ち時間で判断するとき,バスの待ち時間はおおむねわかるが,タクシーの待ち時間は不明な場合がある.このように必要な情報の一部しか手に入らない状況における住民の交通手段選択モデルを待ち行列モデルとして定式化し,ISSAT国際会議で発表した. 他に,オンデマンドバスを運営する立場からの研究として,定路線を時刻表にしたがって,予約のあるバス停まで運行する従来のバス路線に近い運行方法と,時間を決めずに予約が入り次第バスを運行するタクシーに近い運行方法の比較を行うためのモデルを提案した.確率的に発生する需要に対し満たされる期待需要数を2方式について算出し,どちらの方式が優れているか判断の材料を与えることができる.この研究を(学会自体は震災のために中止になった)日本オペレーションズ・リサーチ学会2011年春季研究発表会アブストラクト集で発表した.
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