研究概要 |
本年度は,昨年度の1路線1台,1地点1需要という基本的なオンデマンドバスの需要予測モデルの拡張について研究をおこなった. まず,オンデマンドバスとして代表的な,時刻表にしたがって需要のある点まで運行するバスと,時刻表を持たずに要求地点まで運行する形態のバスとの2種類のバスの同時運用を扱えるように,マルコフ過程によるモデルを拡張した.さらに1地点に1人の需要しか考えていなかった点をポアソン分布による需要の発生をとりいれることにより改良した.また,時刻ごとに需要発生率を変更することもできるようにしている.この拡張により,現実的な需要に合わせることが,より可能となった.2台のバスを運行するとき,時刻表を持たないタイプのバスを2台運行する場合も考えられ,2台のバスにより満たされる期待需要数を計算する方法を提案した.2台の需要予測を1台の場合と比較することで,バスにより満たされる需要が期待される2倍になるのではなく,多くの場合は2倍を少し切るぐらいであり,極端な場合には同じか,3倍以上になるような場合もあることがわかった. 1路線1台,1地点1需要という基本的需要予測モデルについては,2011年8月のISSAT国際会議で発表しており,本年度の1路線2台,1地点複数需要に関する内容については2012年7月の会議で発表予定となっている. 1路線に2種類(時刻表「あり」と「なし」)のバスを運用する場合についても需要予測を行うところまでは研究が進んでいるが,需要を分担する意味で最適なバス時刻表の構成なども行ったうえで研究発表をする予定である.
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