平成21年度の研究計画に従って研究を進めてきた。主な研究成果は以下の通りである。 1 独自のデータベースの整備 地元のスーパーマーケットおよびコンビニエンスストアにおいて、ランダムサンプリング法を用いて販売データを収集した。データのクリニングと変換を経て、独自なデータベースを整備した。2種類のデータベースを用意しているのは顧客の購買行為が異なるので、その違いから在庫ポリシーへの影響を考察するためである。しかしデータの量は十分とはいえず今後さらに充実する必要がある。 2 関連するデータマイニング技術の開発 実データの特性を考慮して、関連規則のみでなく、ロース・ルールやタイムウインド付きの関連規則をマイニングする新しいデータマイニング手法を開発し、ベンチマークおよび実のデータベースを用いてそのルールの有用性と計算の効率化などを検討した。 3 品目間関連性の評価 品目の関連性は様々な角度で定義できる。例えばAが売れればBも売れるということもあれば、AがなければBの一部も売れなくなるということもある。この時間帯にあるルールは別の時間帯にないかもしれない。このような様々な関連性を評価するために新しいマイニングのフレームワークを定義し、最大利益や最小損失を評価基準としたマイニング方法を提案した。ベンチマークおよび実データベースを用いてその有用性を検証した。 研究成果は国内外の学会で発表され、好評を得ている。さらに、いくつかの国内外のジャーナルへ投稿している。また、国際学会で本研究のテーマセッションを組織し、研究成果を公表していた。
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