研究課題/領域番号 |
21510154
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研究機関 | 東北芸術工科大学 |
研究代表者 |
古藤 浩 東北芸術工科大学, 教養教育センター, 准教授 (60244985)
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研究分担者 |
三浦 英俊 南山大学, 情報理工学部, 教授 (30306253)
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キーワード | メッシュデータ / 1/2メッシュ / 過疎地域 / コーホート変化率 / 高齢化率 / 食料品店の分布 / 最近隣距離 / 人口推計 |
研究概要 |
研究計画で提示した研究のうち、「メッシュデータ単位での今後10年間の人口構成の予測」は概ね完成した。移動平均コーホート変化率法を応用したメッシュデータ単位での人口構成を推計するモデルを確定し、正規分布の性質を応用し、統計的な処理によって様々なサイズが異なる地区(メッシュ)の人口推計誤差を統一的に分析できる手法を開発・発表した。 具体例として、山形県を対象として1/2メッシュデータを活用して人口推計をおこなう論文のまとめ作業に入っている。成果として、メッシュデータの集計年偏差(同じ個人・店舗が集計誤差によって集計年によって異なるメッシュに数えられている)を小さくし、かつ有効に分析するためには16の1/2メッシュデータを集めて2kmメッシュ単位で分析するのが最も効果的と考えられることを示した。また100人の集団を考えたときの推計誤差は、標準偏差4.87人と推定できた。これによって、同じような地域をまとめて分析する有意義性を議論し、人口推計では性年齢別に分析するため、低密度地域では2kmメッシュでも数人程度単位となることがよくあるが、その場合の推計誤差(率)が大変大きくなることへの対策を示した。 第二の研究「メッシュデータを中心とした、買い物等交通行動と居住環境の研究」は現在なお研究中である。山形県・宮城県・茨城県を対象として、3種類の基本的施設:食料品店(日用雑貨店)、医療業(病院等)、飲食店(レストラン、居酒屋等)について1/2メッシュ単位で最近隣距離分析と圏域人口の分析をおこない、居住環境と人口の増減・店舗の増減について分析中である。 第三の研究「地域のコンパクト性の計測手法の研究」も進行中である。人口減少に伴う利便性低下の問題の解決手段の一つとして、地域のコンパクト化が挙げられている。そこで、コンパクト性と利便性の関連について考察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人口推計によって少子高齢化の趨勢を明らかにする方法はほぼ完成した。一方、研究計画で挙げた「少子高齢化の交通問題への影響の分析」の内容は研究の過程で変更した。具体的には、因果関係を逆とし「高齢化のもたらす交通問題が、過疎化傾向にどのように影響するか」という立脚点での研究を進めている。 また、食料品店など、生活維持の基礎となる施設の存続条件についても最終年度に結果を発表する予定である。最後の、これらの知見(法則性)が政策的誘導によってどの程度解決可能かは、鍵となる考え方を見出していないので、これは最終年度の課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
研究目的では、少子高齢化の交通問題への影響を分析する予定であったが、逆に、少子高齢化のもたらす交通問題が、過疎化傾向にどのように影響するかという、原因と結果が逆になった研究となる方針である。 また、過疎化がもたらす交通問題への方策と密接に関わることとして、地域のコンパクト性を分析することを新たに入れて進める。この考え方は、震災によって加速される少子高齢化や高台移転の問題とも関連する、より喫緊の問題に対応したいという考えによるものである。
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